病枕記  死にぬく力

病枕記  死にぬく力  
                                    安部文範
8月18日
やっと父の初盆の行事も終わり、またゆっくり見舞いができると十一時半頃に病院にいくと、ひどくぐあいが悪い。今まで毎日完食していた食事がまったく入らない。お茶もよく飲みこめないので、気管がつまらないように唇をぬらすだけ。唇をすぼめて吸いついてくる反応は少しあるが、水分をわずかに吸い込めるくらいだ。つい先日までは葡萄や一口大の桃もツルンと飲みこんでいたのに。一生懸命なその姿がどことなく巣のなかのひな鳥のようでもあったのに。
看護婦長から、看護やお見舞いにも落ち着いて対応できるから個室に移られてはという話がでる。「ありがたいが、そのゆとりがないので」と応えると、「お金の心配はされなくていいです」とつらそうな表情で繰り返され、それでなんとなくわかる。病院では、後で思うとああそういうことだったのか、というようなことが多い。またことばそのものの意味やニュアンスははっきりとはわからないのに、しっかり真意は伝わってくるというようなことも多い。
死の準備、身内のつきそい、最後の別れの客への配慮、それから慌ただしい出入りを隠すことで他の患者を動揺させない、そういったこともあるのだろう。
それまでがナースステーション横の、看護士がガラス窓からのぞける部屋だったから、廊下を挟んだ個室への引っ越しもあっという間に終わる。婦長から、泊まられるんだったら簡易ベッドと毛布くらいはありますと教えられる。その場ではまだピンとこずに断ったけれど、いろいろ頭に染みこんできて、そういうことかと頼むことにする。その夜から泊まりこむ。
ただそばにいるだけで、顔を拭いたり腕をさすったり、頭をゆっくりなでたりぐらいしかできない。鼻への酸素チューブを嫌がって外すこともなくなった。そういう力も失われたということだ。
(一度自宅に戻り窓にも鍵をかけて戸締まりし、最低限必要な荷物を持ってくる。)
二時間おきくらいに紙パンツのチェックと取り替え。もう自力ではねがえりもうてないので寝位置を右向き、左向きと交替させて、褥瘡(床擦れ)の予防。喉から管を押し込む痰の吸引はとてもつらそうだ。意識はあまりないのに毎回はっきりと拒否の意思表示をする。
再々度今後のことを聞かれ、人工呼吸器は使わない、心臓マッサージもしないことを確認し、栄養の点滴と昇圧剤は頼む。会話の流れでそうなったのだけれど、医師はちょっと意外だといったふうだった。それはたぶん緩和ケアだけおこなう、無理に蘇生させたり延命させたりしないということと、点滴や昇圧剤という一種の延命措置が矛盾するからだったのだろう。ぼくのなかにももちろん矛盾がいっぱいある。苦しげなのを見るのはつらく穏やかにさせてやりたという思いと、死なないでくれ死なせてたまるかといった気持ちが同時にある。
 
8月19日
0:00、3:00に紙パンツ取り替え。寝ている向きの交替。
8:00 
血圧52ー123 体温37・9度
酸素チューブから酸素マスクに変わる。
10:24 
血圧38ー66、再度の検査では少し上がる。血圧36ー78  体温37・4度
ベッド横にモニターが取りつけられる。胸に三個のパッド、腕に血圧用のバンド、指に酸素飽和度チェックのクリップが取りつけられる。
 
呼びかけても軽くたたいても反応はないが、頭も鼻も手も温かい。苦しげな速い息で、聞いているのも見ているのもつらくなる。できるだけ声をかけ、頭や手に触れる。大勢の人が看護に関わっているのがわかる。そのなかには特に頻繁に看に来てくれる看護師もある。
(朝食は自販機の温かいレギュラー珈琲とサンドイッチ、昨日の残りの葡萄。)
舌をぬらす、少し反応あり。
(洗濯)
 
13:15 
血圧55ー101、体温37・4度
14:00 
紙パンツチェック、換えなし。
16:00 
紙パンツチェック、換えなし。  
神宮担当医師回診
「数値はよくない、点滴も負担になるかもしれない。一日100ccでやります。」
「いつなにがあってもおかしくないということですか?」
「そうです。」
 
(昼食にでて、家に戻りシャワーをすませ、果実などを持ってくる)
 
午後、点滴始まる。
5時過ぎの血圧は41ー88。
18:30 
(夕食)
喉になにか引っかかっているように、息苦しそうに口を閉じてモグモグさせる。初めてナースコールを使い来てもらい、痰の吸入。褐色の液がどっと管に入ってきてびっくりする。200ミリ以上。ある程度吸引し、酸素飽和度が87まで落ちたので中止し酸素マスクをもとに戻し、また後ですることになる。時々喉がなるが、自分で口を開けて息をして落ちつく。後でもう一度100ccほど痰などを吸引。
震えながら腕をもち上げようとするしぐさや自分で布団をはぐことも少なくなる。それでも時々は、ハンッという、声というか空気の塊をだすような音がでる。なんとなくユーモラスで、だからこちらも応えるようにハンッと声をだしたくなる。心理的なものも含めてなにか胸につかえているものを吐きだしている、そんなふうにも聞こえる。
手首をカクッと曲げて震えながらあげられる手は、老婆のような、魔女のような。そんな比喩が全くの的はずれでないくらい痩せて細くなってしまった腕。それでも手の甲は驚くほどすべすべしていて、血管も透けてみえる。
半開きの口が苦しそうにせわしなく息を吐く。ハァハァという音が時折速くなったりもする。聞いているのはつらい。脈拍が116とか120とかだから息苦しいはずだ。大きく息を吐くたびに頭全体がガクンと後ろに下がり、顎があがる、氷枕が揺れる。
21:05 
血圧 55ー101、脈拍(HR)117、酸素飽和度(SPO)92、呼吸数(RR)38
手を動かして、指先を挟んでいる酸素飽和度のクリップを首や顎にギュッと押しつけるのは、なにかの刺激を感じとれるからだろうか。むしり取ったりするしぐさはもうない。
18:10からソルデム1点滴 500ミリ。  
久しぶりに顔中がクシャクシャになるくらいの大きなあくび。「ポパイ」に出てくるおじさんのように、大きく開いて気持ちよさそうに。
21:20  
喉の妙な音の後、呼吸が止まる。口を半開きにしているが、吸うも吐くもない。ナースコールできてもらう。肩を軽く叩いて呼びかけると、数回呼吸する。痰吸引。痰は出ない。鼻から管を入れる。苦しそうだが今までほどの極端に嫌がる反応はない。不規則だが呼吸が再開し、徐々に落ちつくが、呼吸の音も小さい。不安がつのる。
夜は23:00、0:00、3:00にチェックの予定。

8月20日
(昨晩は10時にはバタンと寝てしまって23:00、1:00のチェックは覚えていない。)
3:00 
チェック
5:00 
センサーアラーム 酸素飽和度値が下がっている、マスクを直す。
5:45 
紙パンツ換え  
(起床。「へんな夢を見たよ、今日は曇りだよ」と声をかける。)
6:15 
体温36・9度  血圧62ー85  酸素飽和度95  呼吸数31 脈拍111
「夜中に落ちつかれていてよかったですね」と看護士。
7:00 
病室付きの洗面台の蛇口からのお湯は出ない。諦めて給湯器からのお湯を何回かコップで持ってきてタオルを温める。目やにをとり、顔と手を拭く。耳、首、胸も。あまり気持ちよさそうではない。鼻の穴も昨日の吸引の時の黒ずみがあり、耳コットンで拭く。そんなには嫌がらない。
(昨日残していた葡萄を少し食べる。)
7:15 
おしぼりが届く。温かいのでもう一度顔を拭く。お茶、水もくる。
明けてくると晴れる、「晴れたよ」と告げる。
いつものように四、五回呼吸して身体をびくんとさせる。時々、ハァーッ。たまにあくびもある。
7:30 
紙パンツ換え。
八時ぐらいになるとおはようございますの挨拶も頻繁になり、人の行き来、物を動かす音、ワゴンを押す音が響く。気がつくといつのまにか駐車場が全部車で埋まっている。
(八時頃、レストランはまだあいてないので売店でサンドイッチと牛乳、あたたかい珈琲で朝食。)
9:05 
医師回診。一分で終了、といった速さ。「声かけされましたか」との問い。その意味ははっきりとはわからなかったが、「はい」と答える。意識がなくても声をかけた方がいいということだろう。
聴診器を三箇所にあて「昨日と同じです」。
「息が止まって呼吸しなかったときがありますが」と聞くと、「そういうこともあります」という答え。
9:15 
掃除。昨日と同じおばさんがみえ丁寧にモップをかけてくれる。婦長がみえ、少し話す。簡易ベッドは寝心地が悪くてもうしわけないなど言われ、助かってますと答える。窓ガラスを拭く人が後で来るとのこと。
9:35 
身体ふき、着がえ。半袖のサーモンピンクのストライプが入ったパジャマを用意する。席を外してくれと言われ、外す。紙パンツ換え。
10:05 
朝のバイタルチェック。体温37・0度 血圧52ー103
痰吸引。のっけから鼻に入れられつらそう。吸引は何度見てもこちらまで痛く、苦しくなる。席を外してみない方がいいのかもしれない。
10:30 
婦長が再度みえ、窓ふきは内側もあるといって、簡易ベッドを窓際から移動する。
身体のビクンビクンが大きくなり、その度にセンサーがずれてアラームが鳴る。
10:50 
血圧59ー103 
氷枕をとりかえる。
痩せて痛そうなほどとびだしたのど仏の先端が、時々ぐぐっと顎の皮膚を引っ張るようにして下がる。
11:00 
体重測定 58・5キロ。入院前は74キロくらいだったからほんとにやせてしまった。担架形の布を身体の下に入れ、二本の金属の太い棒を通し、クレーンのように四本爪のフックで抱え上げて測定。なんだかやけに大がかりで、でも慣れているのだろうてぎわがよい。奇妙なシューレアリスティックな光景。紙パンツ換え。
11:20 
点滴交換。元気が良いのでチアーさんと名づけている看護士さんと少し話す。ぼくのこともあれこれ知ってあり、ちょっと驚く。
18日から排便がないので、便通のための座薬を入れる。
点滴交換の時、新人の男性看護士はよくわからないらしく先輩を連れてきてきいている。
「空気がここに入ったから・・・・」
「それでどこをどうするとね?」
「えーーと・・・これで・・・」
11:30 
点滴交換終了。ソルデム1500cc。
血圧 73ー105
目やにをとる。
(十二時頃昼食に出る。廊下であったチアーさんと歩き話。仕事はほぼ八時間勤務とのこと。たいへんですね、というと、「いちばんたいへんなのは患者さんです」という返答。何も応えられない。
食事の後、支払いせずに出てきてしまって、廊下で後ろから声をかけられる。「ぼんやりしててすみません」といって戻って払ったけれど、そういうことをしたこと自体にも驚きや羞恥がほとんど生まれない。後で郵便局と西鉄ストアのシティ銀行で振り込み。)
13:00 
血圧 62ー108
14:40 
血圧57ー73、体温37・6度
鼻からの吸引。血が混じり、痰は少ない。
口腔ケア。口のなかをスポンジで拭く。痛いのだろうかすごくつらそうな表情、嫌がって口を閉じる。手は動かない。
15:10 
館内放送の後、院長回診。みんな緊張している。
「呼吸はいつもこんなふうですか」
「時々つかえますがだいたいこんなふうです」
「たいへんでしょうがよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
中学時代の同級生の奥さんが回診団のなかにいて驚かされる。出自の町で暮らしているとこういうことがままある。あたりまえのような、不思議なような。
午前中だけみても実にいろんなことがあり、実にいろいろな人の世話になっている。
15:20 
血圧 66ー117
15:40 
点滴差し替え。席を外す。戻ってもまだ続いている。新米の男性看護士の緊張を高めないようまた外に出て待つ。点滴位置が右足から右腕にかわる。紙パンツ交換(軟便あり)。
15:59 
血圧70ー104、脈拍108、酸素飽和度92、呼吸数27
16:50 
酸素飽和度値が90を割り、脈拍が78から200とめまぐるしくジャンプする。口を半ば閉じての呼吸。体を仰向けに平たくする。酸素をあげ(増やし)、飽和度チェックのクリップの指もかえる。
飽和度が96になる。脈拍も109くらいに落ちつく。
17:20 
紙パンツ換え。血圧60ー106、酸素飽和度96、呼吸数27、脈拍110
(松井さんに電話。つながらない)
18:30 
カーテンを閉めにみえる。
19:01 
血圧61ー106、脈拍115、酸素飽和度92、呼吸数29  
脈拍が時々45くらいになる。モニターの誤作動かもしれない。
20:30 
酸素飽和度が90になりアラームが鳴る。酸素の漏れを減らすためにマスクを顔に押しつける。看護士がきてチェックのクリップの指をかえる。瞼をちょっと触り「まだ生体反応がありますね」とサラッという。そういうことばにも使い方にもびっくりさせられる。
暑い息を吐き続けている。どこでもない一点に目を向けたままだ。
酸素飽和度94、脈拍116、呼吸数32、血圧61ー102
21:00 
紙パンツ換え。「暑いようです」とのことで、毛布を外しバスタオルを掛ける。酸素マスクの先端に袋状の物がとりつけられ、象の鼻のようにもみえる。血圧の腕輪は外される(計るときにその都度つけるとのこと)。
21:30 
(早めに就寝。室温は26度に設定しておく。
一度横になると体がなかなか動かない。アラームが鳴ってるなと思っても起き上がれない。夜中に二度だけ起きる。体が冷たそうで、腕をさすってからバスタオルを二重にして上半身にかけ、下半身には布団をかける。後で元の状態に戻されていた。
隣の病室は工藤平八郎という立派な名前のご老人で、奥さんらしい人がいっしょにおられるのがちらりと見えたりする。平八郎はおそらく東郷平八郎からきているのだろう。ぼくにもまるっきり無縁だというわけではない。)
21日 晴れ
6:00 
軽いくしゃみ二回。あくび。こういう日常的な体の動きにほっとさせられる。
三、四回の呼吸、しゃっくりのような動きの後、上半身がビクンビクンと揺れる。数回続くこともある。口を半ばあけ、息は荒い。お湯を使って顔、手、腕を拭く。ひげ剃り。顔全体にクリームを塗る。
(梨を食べる。)
7:15 
お茶、おしぼり。あらためて顔拭き。耳も拭き、耳穴の掃除。嫌なのか反応がある。しゃっくりは止まり落ちつく。息は荒いまま。腕をさすると反応がある。
時々、太い喉の音でハアハアいう。頭をさすると落ちつく。体のビクンビクンが多くなる。その間は呼吸が止まっている。
8:00
(朝食に出る。)
9:15 
体拭き。
9:40 
痰吸入。口腔ケア。
ヴァイタルチェック 血圧53ー114、脈拍105、酸素飽和度92、呼吸数27、
体温37度
10:10 
(洗濯。松井さんに電話、つながらない)
10:15 
ピーピーという信号で点滴交換。ソルデム液1輸液500ミリ。
脈拍が80から120と激しく上下してアラームが鳴る。体もビクンビクンとする。
12:40 
体温37・2度 
光を当てての瞳孔反射検査。弱いようだ。マツゲに触ると反応はある。
(昼食。クリスティの「エッジウエア卿の死」読み終える。)
14:20 
テーブル拭き、ベッドの汚れ落とし。
(二時半から三十分ほど眠る。)
15:00 
口腔ケア、痰吸引。口を開けての呼吸で乾燥しているのか血の塊などが多い。
血圧55ー101、酸素飽和度97、呼吸数25、脈拍107
16:00 
紙パンツ換え、保冷枕。
17:15 
血圧65ー119、脈拍111、呼吸数27、酸素飽和度94、37・2度
17:45 
紙パンツ換え 
(夕食)
19:04 
血圧57ー100
20:00 
血圧54ー92 
痰吸引はつらそうで、外にでて待つ。かなり出血があったようだ。
20:20 
紙パンツ換え
21:30 
点滴交換  血圧59ー111
寝不足のぼんやりした頭。刺激のない、誰ともほとんど話すこともない、清潔で涼しい場所にじっと座っていると、ただ人が死ぬのをじっと待っているだけのことに思え、でもそれは永遠に続くような、そんな気がしてしまう。もしそうなのならそれがいいと、どこかで思ったりもしている。
ときおりの痛々しい痰吸引、その時に管を満たす血の色、視点のあわなくなった、すっかり濁った瞳、半ば開いた口で苦しげに繰り返される熱い呼吸、投げ出されたままもう反応しなくなったでも温かさを伝えてくる手のひら、そういったものも、なんだかリアルでなくなり時は停まりこのままなにもかもがずっと続いていくとしか感じられなくなる。ときおりカタカタとなにかが揺れる音が響く。以前いた病室の老婆が檻のようなベッドの介護柵を揺すってるのだろう。いろんな音が思いがけないほど近くで聞こえる。伝わってくる方角はひどく曖昧で、どこからなのかわからなくなる。静かさがそういう現象を生むのだろうか。それとも疲れた耳やとがった神経にはそんなふうに異様に響くのだろうか。   
 
8月22日
5:10 
体がビクンビクンする、うめき声、手もきつく握っている。ナースコールできてもらう。吸引しても血しかでないとのこと。ただ痛々しい。最後に少し痰がとれ、体も落ちつく。
5:42 
血圧58ー89、脈拍115、酸素飽和度92、呼吸数37
パンツ交換。酸素飽和度のアラームが鳴り続ける。頬がこけてぽっかり隙間ができているからで、マスクを頬の上で押さえるとアラームも止まる。
7:15 
吸引、血ばかり出る。熱があり(38度以上)、血圧も42ー77と低い。しばらくようすを見て、昇圧剤を考えるとのこと。大腿部つけ根と頭に保冷剤。
おしぼりで顔や耳をふく。
7:32 
昇圧剤イノバン 150ミリ 0・3% シリンダー、を開始。
7:57 
血圧55ー93に上昇
「これでようすをみます」。
(朝食へ)
8:30
 吸引。酸素飽和度も落ちつく。
「知らせが必要な方には知らせて下さい」といわれる。
9:20 
体拭きも股間など一部だけとのこと。着がえなし。
10:25 
点滴交換。血圧55ー82に下がる。
10:45 
ごくふつうのかんじでウン、ウーンという。以前の日常に戻ったようにさえ聞こえる。状態も悪いながら安定。
11:30 
血圧40ー70
昇圧剤を2/h(1時間)から4/hにあげる。
(外出はやめる)
11:37 
血圧50ー80
パンツ交換(排泄なし)
12:45 
血圧37ー65、脈拍126、酸素飽和度92
血圧が下がり続け、昇圧剤は6/hにあげられる。最大は10/hとのこと。
「他に知らせる方があれば・・・」とまた言われる。「身寄りのない方ですので」、とくり返す。
「人為的に血圧を上げている。これが効かなくなればしぜんに心臓も動かなくなります」と告げられる。
13:17 
血圧47ー76、酸素飽和度93、脈拍123
神宮医師から「血圧が下がり始めていますね。今夜くらいが山だと思います。」
13:40 
血圧45ー71、昇圧剤8/hにあげる
「この状態で酸素飽和度が92あるのは驚異的です」と言われる。
14:30 
血圧47ー75、酸素飽和度93、脈拍123
時々ハーンの声がでる。呼吸数が13になったりする。手や腕をさすり、軽く叩く。
14:55 
呼吸が止まる。ナースコールですぐに来てもらう。 血圧42ー85、酸素飽和度92、脈拍134、呼吸数9 
呼吸再開。
15:30